6月に開幕するサッカーの2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の試合会場建設で、高い技術力を持つ大阪の企業が屋根の工事を請け負った。大型テントメーカーとしては、世界トップの太陽工業(大阪市淀川区)。W杯会場での工事引き受けは、日韓大会(2002年)、ドイツ大会(06年)に続き3大会目。14年のブラジル大会でも「ぜひ受注を獲得したい」と“4大会連覇”へ意欲を燃やしている。(森田晶宏)
■東京ドームや万博「アメリカ館」も
太陽工業が手がけたのは、W杯南ア大会の会場のうち南部の都市ポート・エリザベスの「ネルソンマンデラベイ・スタジアム」(4万8千人収容)▽ダーバンの「ダーバン・スタジアム」(7万人収容)▽ケープタウンの「グリーンポイント・スタジアム」(同)の3会場の屋根。いずれも新設のスタジアムで、米国と豪州にある同社の子会社2社が製造・施工を約40億円で受注した。
3会場の屋根には、ガラス繊維に紫外線などの影響を受けにくい「四フッ化エチレン樹脂」をコーティングした素材を採用。東京ドーム(東京都)にも使用され、経年劣化が少なく、数十年の使用に耐える。四フッ化エチレン樹脂はフライパンの表面コートにも使用され、火災にも強い安全な素材だ。
昨年1~6月、工事に順次着手し、すでに完工。同年11月に日本代表と南ア代表の国際親善試合が行われたネルソンマンデラベイ・スタジアムの場合、シートは太陽工業の瑞穂工場(京都府京丹波町)で製造。南アに輸送後、スタジアムの屋根を、鉄骨に沿って36枚のシートで覆った。
「太陽工業の存在感やステイタスを上げていくためには、W杯での受注は必須の仕事だった」と、同社の中西徹・海外統括部長は語る。
4年に一度の大型案件だけに、受注競争も厳しかった。英国やドイツの企業など「目の上のたんこぶは何社かいた」(中西部長)。過去2大会連続での実績や高い技術力が評価され、約3年前に正式な受注契約を交わした。
太陽工業は、能村光太郎社長の祖父、金茂氏が大正11年に大阪で創業した「能村テント商会」が源流。太平洋戦争中に廃業に追い込まれたが、戦後に光太郎社長の父、龍太郎氏が再建した。昭和45年の大阪万博の「アメリカ館」や、東京ドームのほか五輪会場やF1サーキットの屋根も手がけた。平成20年12月期の連結売上高は491億円、3分の1を海外事業が占める。
今後、ブラジル大会をめぐる受注合戦も本格化。中西部長は「どんなターゲットに営業するか、もう動き始めている」と、意気込みを新たにしている。
すげえな。大阪の誇りだ。